ダイナミックマーケティング社

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SC・業態の事例研究①

日本料理レストランTSUNAMI

私はアメリカの流通・SCの視察(15日間)の途中の2017年10月12・13日の2日間、2度目のニューオーリンズへ行ってきました。 ニューオーリンズではミシシッピ川の遊覧船に乗ること、ジャズを思い切り聴くこと、名物グルメのシーフードを満喫することを目的としていましたが、その滞在中に「TSUNAMI」という興味深い日本料理レストラン(日本食を基軸としたフュージョンレストラン)を発見しました。 私は長年のアメリカへの出張で、日本食が現地で受け入れられたプロセスを次のようにメカニズム化しています。

①第1段階

アメリカにいる日本人駐在員やその家族、日本人観光客を主力マーケットとし、+αのフォロワー(追随客)としてアメリカ人を対象としていた段階。 この段階では、100%日本にある日本料理店と同じメニューと経営スタンスの日本料理店です。

②第2段階

日本人とアメリカ人が半々のマーケットで、メニューも本来の日本食にアメリカナイズされたエキゾチック日本料理も加えられ、アメリカ人にも受け入れられやすい日本料理レストランとなった段階。 しかし、基本は日本食メニューが中心で、エキゾチックなメニューはあくまでも日本食のアレンジスタイルが中心の日本料理店です。

③第3段階

アメリカ人が主力マーケットで、フォロワーとして日本人を対象とする段階。 この段階では日本人よりもアメリカ人の利用者が圧倒的に多く、まさに日本食を好むアメリカ人のための日本料理レストランです。 ただし、この段階もさらに2つのタイプがあります。 1つのタイプは擬似日本食の店で、アメリカ人の好みに合わせることで全く本来の味や料理手法が異なり、日本人が食べると違和感のある日本食です。 アメリカのSCのフードコート内に多く存在しています。 もう1つのタイプは、真正日本料理をコンセプトとしつつ、アメリカ人の好みを加味してメニューにバリエーションを加え、日本人が食べても違和感はなく、逆にエキゾチック性を感じる万人向けの日本料理レストランです。

私が発見した日本料理レストラン「TSUNAMI」は、第3段階の真正日本料理をコンセプトとしたフュージョン(融合)レストランです。 すなわち、アメリカ人(外国人)に好まれ、日本人にとってもストライクゾーンどころか若い層にとってはエキゾチック性のある新業態のような存在感のある日本料理レストランです。 そのTSUNAMIの特色は次の通りです。

①基本的には大型レストランで、寿司バーとテーブル席で形成され、洗練されたモダンな内装が施された本格レストランです。

②メニューは豊富かつ多様で、日本食を基軸としたアジア料理、中華料理、西洋料理、シーフード料理、居酒屋、スポーツバーを日本料理化したフュージョンレストランです(深いメニュー)。概念的には、真正日本食と波及日本料理化したエキゾチック料理を3割差異化・特化、7割総合化の戦略を導入したレストランです。日本酒も多様に揃えており、日本酒セットなど独自性があります。

③価格は珍品・グルメ・健康・デザイン性が強みを持つためワンレベル上の価格ですが、こだわりがあるため「安くはないが、他にないので納得する価格」(無印価格と呼ぶ)です。

④料理の盛り付けはデザイン性が高く、ボリューム感(御膳スタイル)、おしゃれ感、しつらえ感(植物や花で飾る)があり、アメリカ人のセンスから見たおしゃれ感を演出しています。

⑤店員は全て日本人ではなく、サービスは見事で、料理や応対のしぐさがテキパキと気持ちの良い作業行動と行き届いたサービスを行っています。

日本料理の後進国(発展途上国)では、先進国の日本食の技術を模倣し、自国に適した形で改良していくのが成功のポイントです。 TSUNAMIはまさに、日本食のコンセプトを基軸にアメリカスタイルを上手く付加し、万人受けする日本料理レストランです。 その意味において、日本に導入すれば日本の若者受けするエキゾチックな日本料理店として人気が出るはずです。 万人受けする料理として、「日本の中国人にも通用する中国を上回るラーメン」「日本のインド人にも通用するインドを上回るカレーライス」「日本の韓国人にも通用する韓国を上回るジャパニーズバーベキューの焼肉」が日本にはあります。 アメリカのPFチャンも、中華料理のフランス料理レストラン版として人気のある中華レストランです。

SC・業態の事例研究②

ロハスとスタートアップの都市・ボルダー

最近、アメリカのコロラド州の「ボルダー市」が2回目の注目を浴びています。 第1回目は1990年代からの「ロハスのメッカ」としてのボルダー市です。 ロハス(LOHAS=Lifestyles of Health and Sustainability":健康と地球の持続可能性を志向するライフスタイル)がボルダーで生まれた理由は、ロッキー山脈のふもとの海抜1,600m地点に位置し、豊かな自然のある高原都市であったこと、コロラド大学ボルダー校(ノーベル賞受賞者を数多く輩出)の存在や企業の研究期間が進出して、学歴の高い人々や所得の高い人々が住み着いたこと、自然に恵まれているためヒッピー(思想的原始生活者)が住み着き、自然志向・21世紀志向の土壌を育んだことです。
第2回目は2010年頃からの「スタートアップ(起業)都市」としてのボルダー市です。 今、自然豊かで知的な都市ボルダーで起業する人々が増えています。
ボルダー市は「頭脳集中都市」(米国・ブルームバーグ通信調査)の第1位に選ばれました。
頭脳集中都市・上位10都市は次の通りです。

①ボルダー(コロラド州)

②サンフランシスコ(カリフォルニア州)

③サンノゼ(カリフォルニア州)

④フォートコリンズ(コロラド州)

⑤ワシントン(首都)

⑥ローリー(ノースカロライナ州)

⑦ダーラム(ノースカロライナ州)

⑧マディソン(ウィスコンシン州)

⑨シアトル(ワシントン州)

⑩デンバー(コロラド州)

今、21世紀型の先進人(感性の高いエリート層)は「自分の好きな都市(住みたいまち)で自分の才能を活かして働きたい」と想うようになりました。 住みたいまち・働きたいまちの21世紀型の代表的な都市に「ボルダー市」と「ポートランド市」があります。 この2つの都市の概要は次の通りです。

ポートランド ボルダー
行政人口 56.3万人 10.0万人
都市圏人口 214万人 10.0万人(都市圏なし)
都市の経済性 自立経済圏 従属経済圏
ポートランドは行政人口56.3万人で、都市圏人口214万人の独立した経済圏を持っています。 ボルダーは人口10万人のデンバー(行政人口56万人、都市圏人口236万人)の経済圏の中で経済活動を行っている従属立地です。
自然環境 海と山の両方の特性を持つ自然に恵まれた都市。 ロッキーの山麓にある高原都市で、豊かな自然に恵まれた都市。
都市の特性 20世紀型の都市の良さと21世紀型都市の良さを持つハイブリッドな都市。 基本的には、20世紀型の都市はデンバーに任せ、ボルダーは21世紀型に特化した都市。
街のイメージ 庶民の街イメージ エリートの街イメージ
新・下町イメージ 新・山手イメージ
プチエリート(学生、修士の街のイメージ) エリート(ノーベル賞、博士の街のイメージ)
感性・創造的なイメージ(共通)
背景に車社会と合理性社会の存在(ボルダーにおいてはデンバーが20世紀型の都市)
地域の絆の強い街
ロハス志向の強い街(ボルダーはロハスの発祥の地)

ボルダー市もポートランド市も自然に恵まれ、人材に恵まれた都市です。
自然に恵まれ、人材に恵まれ、モノの良さが理解できる消費者に恵まれ、地元商業や企業を育てたいという地域愛のある住民に恵まれたボルダー市やポートランド市は、まさに21世紀型都市のモデルです。