ダイナミックマーケティング社

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流通トピックス情報①

ウォルマートとアマゾンのミレニアル世代の争奪戦

ウォルマートストアがジェットドットコム(通販の企業・3,000億円で買収)を買収(M&A)し、アマゾンドットコムがホールフーズマーケット(オーガニックのSM・1兆5,000億円で買収)を買収しました。
ウォルマートはリアル店舗(実店舗)からネット通販(オンラインショッピング)に向かっており、アマゾンはネット通販からリアル店舗へと向かっており、リアル店舗とネット通販の垣根(境目)はなくなり、リアル店舗とネット通販の融合が進んでいます。
このウォルマートの通販企業のM&A 及び アマゾンのオーガニックSMのM&Aには共通性が見られます。
すなわち、ウォルマートが買収したジェットドットコムは低価格志向かつヤング層に強く、ヤング層及び低価格のネット対応はアマゾンよりノウハウを持っていると言われています。 このヤング層とは1985~2000年に生まれた「ミレニアル世代」で、現在(2017年)で17~32歳の次世代の消費リーダーです。 ウォルマートはアマゾンに対抗するため「ミレニアル世代」に強みを持つ通販会社をM&Aしました。
一方、アマゾンはオーガニックSMをM&Aし、実はミレニアル世代はサステナブル志向が強く、食関連では健康・自然志向が強い世代です。
アメリカでは3世代目の世代交代が起こっています。 ベビーブーマー(日本の団塊世代に相当)からX世代・Y世代(日本の団塊ジュニア世代に相当)を経て、ミレニアル世代がネクスト世代として注目されています。 アメリカも日本も消費の主役となる世代(ライフステージ)が変遷すると、流通業界の「覇権業態」(流通を牽引する業態)や「覇権企業」(流通を牽引する企業)が交代します。 すなわち、ネクスト世代であるミレニアル世代に対応した覇権業態や覇権企業になることが次の時代に成長するために必要となります。

ミレニアル世代は2010~2030頃年に「25~45歳」になる世代で、次のような特性を持っています。

①デジタル志向(ネット通販志向)

②健康・自然志向(安心安全志向)

③賢明消費志向(スマート消費・便利とスピード消費・身の丈消費・コスパ消費・高感性消費志向)

④パーソナル志向(ファミリー志向の希薄化とファミリーでも個人志向)

⑤非所有志向(所有することに執着しない志向)

⑥エシカル志向(社会倫理や持続可能社会重視志向)

ウォルマートがミレニアル世代に強い通販会社をM&Aして、次世代(新世代)の消費の覇権を握ろうとしており、またマゾンが実店舗の自然・健康食のSMをM&Aしているのも、実は次世代(新世代)の消費の覇権を握ろうとしているのです。 ただ、アマゾンが買収したホールフーズはワンランク上のオーガニック&グルメのSMであるため、ミレニアル世代にとってはやや高めの価格となります。 そこで、ホールフーズは「サブブランド業態」(小型化し、店舗を簡素化し、価格をリーズナブル化した店)した「365バイ・ホールフーズマーケット」(毎日利用できるホールフーズの店)として展開しています。 同時に、ホールフーズの価格を下げつつあり、ミレニアル世代の節約・堅実消費に対応しつつあります。
ウォルマートは同時にグーグルと提携して、ウォルマートの商品をグーグルでのネットで販売すると同時に、グーグルはウォルマートの売上高50兆円の買物履歴をAIを駆使してノウハウ化しようとしています。
アマゾンも実店舗の「アマゾンブック」「アマゾンフレッシュ・ピックアップ」「アマゾンCVC」を開発しており、同時にアマゾンはクラウドコンピューティングのトップ企業でもあり、AI(AIスピーカー含む)を駆使した買物履歴をノウハウ化しています。
いずれにしても、ウォルマートとアマゾンの戦いはリアル店舗とネット通販の垣根を越えてミレニアル世代の争奪戦に激しさを増しています。 まさに「リアルとネットの融合化」が起こっています。

流通トピックス情報②

アメリカの3回カテゴリーキラー登場のメカニズム

カテゴリーキラーとは、既存の正規型業態(カテゴリー)を切り崩させ、あるいは長期低落化の道を歩ませる斬新で革新的な業態を言います。

(1)第1次カテゴリーキラーの登場

1950~1960年代に既存の商店街、あるいはロードサイドの路面店の業種店(特定の商品分野を品揃えするよろずや型の店や従来のカタログ通販)を切り崩して登場したカテゴリーキラーが「シアーズローバック」(現在はシアーズ)です。
シアーズはPDS(GMS、あるいは進化型のプロモーショナルデパートメントストア)としてチェーン展開し、全米の業種店や最寄店やカタログ通販を弱体化させ崩壊させました。 PDSとしてのシアーズは新しい生活向上志向のライフスタイルの提案による中流志向の生活者を創出し、既存の流通を崩壊、あるいは長期低落化の道を歩ませたことは「まさにシアーズはカテゴリーキラー」です。 PDSの武器は「価格破壊力」「チェーン店の展開力」「総合店」「新しいライフスタイル(アメリカ型)の提案」で既存流通業態を淘汰、あるいは長期低落化しました。 このシアーズに追随して、JCペニーやモンゴメリーワードもカテゴリーキラーの役割を果たしました。

(2)第2次カテゴリーキラーの登場

1980~1990年代に、アメリカは経済的にスタグフレーション(景気が悪いのに物価が上がる最悪の経済状態)となり、アメリカの流通業界に消費者の救世主として「ウォルマートストア」が出現し、既存の流通業態であったシアーズを中心とする中流志向・生活向上志向のライフスタイル業態を切り崩し、シアーズを中心とするPDS(JCペニーやモンゴメリーワード、モンゴメリーワードは倒産)はウォルマートの出現により長期低落化の道を歩みました。 その意味において「まさにウォルマートはカテゴリーキラー」です。
ウォルマートに追随して、ターゲットやKマート(後に倒産)がディスカウントストアとして登場し、さらにアウトレットセンター、パワーセンタ-、パワータウン、オフプライスストア、百貨店の廉価業態、特定分野に限定したカテゴリーキラー(トイザらス、スポーツオーソリティ等)シングルプライスストアの廉価業態が進出しました。
ウォルマートを中心とするカテゴリーキラーの武器は「圧倒的品揃え」と「価格破壊力」と「チェーン展開力」です。

(3)第3次カテゴリーキラーの登場

第2次カテゴリーキラーと共に、1970~2010年代はスペシャリティ百貨店を核とする「多核モール型RSC」が1950~1960年代の主力SCに代わってSCの主力業態として君臨していました。 アメリカのRSC(店舗面積30,000以上のSC)は一時は1,500ヶ所立地し、SCの覇権業態でした。
今、このRSCに異変が起こりつつあります。 いわゆる「デッドモール化現象」(廃モール現象)です。 アメリカのRSCは過剰状態であること、経年劣化したRSCが多いことと同時に「アマゾンドットコム」によるネット通販の進出です。 ネット通販によりRSCの核店が切り崩され、メイシーズやシアーズやJCペニーは各200店舗以上の閉店を実施中であり、核店の撤退により競争優位性がなくなったRSCはデッドモール化しています。
このSCの王者であるRSCをデッドモール化させていることは「まさにアマゾンはカテゴリーキラー」です。 ネット通販の武器は「スピード」「便利」「低価格」「品揃え」であり、RSCのみならず多くの業態(特にPDS、百貨店、特定分野のカテゴリーキラー、スタンダード型専門店…等)を長期低落化の道を歩ませています。 アマゾンはエブリシングストア(すべてを扱う店)を目指しており、事業を水平的に展開し、ライバルとの競争はそれぞれ垂直に深く取り組む戦略を取っています。

以上のように「シアーズ」「ウォルマート」「アマゾン」は既存の業態を淘汰、あるいは長期低落化に導き、出現する前の景色と出現した後の景色を全く変えるカテゴリーキラーです。